東京高等裁判所 昭和45年(ラ)564号 決定
抗告人、相手方間の本件土地についての賃貸借契約は、昭和四三年六月一〇日付で合意の上更新せられ、その存続期間は同年一〇月二八日から昭和六三年一〇月二八日までと定められたことを認めうるから、右存続期間満了前に本件建物が朽廃した場合でも借地法第五条第二項、第二条第二項により借地権はそのことにより消滅するものではない(最高昭和三七年七月一九日判決、民集一六巻八号一五六六頁参照)。そうすれば、本件建物の朽廃が近いことをもって借地条件変更の申立てを拒否する理由となすをえない。<中略>
原決定が本件土地の更地価格を三・三平方メートルあたり金八五万円と認定したことは低きに失するばかりでなく、借地目的変更にともなう財産上の給付を右更地価格の一割をもって相当としたことは低きにすぎる、とするものであるが、本件記録によるも右更地価格の評価が低きにすぎると認むべき資料はないから、当裁判所も右価格を基準として、本件借地条件変更にともなう財産上の給付額を判定すべきものと考える。
しかして、相手方の現在使用している建物は、木造ルーフイング葺二階建住家、一階四一・四五平方メートル、二階三三・〇五平方メートルであるのに対し、本申立てにより新築しようとする建物は、鉄筋コンクリート陸屋根造三階建店舗兼居宅、一階四〇・九九平方メートル、二階四〇・九九平方メートル、三階三三・〇五平方メートルであって、その効用においてほぼ一・五倍の増加となり、その構造において堅固な建物となることにより借地権価格が増加すること、借地期間が後記のとおり延長されること等本件における諸般の事情を勘案するときは、借地条件変更にともなう財産上の給付金は、更地価格金一、二七五万円(三・三平方メートル金八五万円の割合による本件土地四九・五八平方メートルの価格)の一五%に当たる金一九〇万円(万円以下切捨て)をもって相当と考える。
(位野木 鰍沢 鈴木)